鉄面卿の挑戦

主要登場人物については、こちらも参照のこと。

その他の登場人物

う た が わ け い ぶ

雅樂川警部

今回は咲間警視ではなく、この人物が登場。

警視庁捜査三課所属のベテラン警部で、対鉄面卿専従班の捜査指揮官。年齢は50代くらいで、立派な髭を生やし、恰幅の良い体型。武智恭介とは旧知の間柄で、固い信頼関係で結ばれている。武智の弟子である晴彦たちとの関係も良好。

武智、晴彦、イサムのことは「君」付けで呼び、梨奈と詩織のことは「ちゃん」付けで呼んでいる(反対に武智や晴彦たちからは、「雅樂川警部」「警部」と呼ばれている)。

しかし優秀な刑事とは言い難く、鉄面卿からは無能呼ばわりされ、ハッキリ言って馬鹿にされている。

捜査の際は武智の知恵に頼り切っており、あまり役に立たないコメディリリーフ的なキャラクター。

てつめんきょう

鉄面卿

暗黒街の帝王ともよばれる稀代の大怪盗にして、名探偵・武智恭介最大のライバル。

血を見るのが嫌いで人殺しはしない主義だが、失敗を犯した部下には容赦ない制裁を与える。

その正体は不明。

 

キャラクターデザインは、ジェネオ様。


てつめんきょう せんとういん

鉄面卿の戦闘員

鉄面卿配下の戦闘員。鉄面卿の命令には常に忠実であり、「キキーッ!!」と奇声を発して襲ってくる。ちなみに全身タイツの中身は普通の人間である。

 

キャラクターデザインは、螺 Nezi様。


あらすじプロット

場面1

  • 晴彦たちの師である武智探偵事務所の主、名探偵・武智恭介が英国貴族アビントン卿から受けた依頼を片付け、およそ3か月ぶりにロンドンから日本に帰国した。
  • 姪の雨宮梨奈は、執事の寺崎と共に成田空港まで伯父である武智を迎えに行く。
  • 空港の地下駐車場で車に乗り込もうとする武智と梨奈だが、突然全身黒タイツの戦闘員たちに取り囲まれる。

戦闘員A「武智恭介だな!?」

武智「君たちは?」

戦闘員B「警告する。栃木山(ときぎやま)家から手を引け!」

武智「トチギヤマケ・・・? いったい何のことかね?」

戦闘員A「とぼけるな! 貴様が栃木山介堂から依頼を受けていることは、先刻調べがついている!」

戦闘員B「構わないから殺ってしまおう!」

戦闘員C「キキーッ!!」

武智「梨奈、安全な場所まで下がっていなさい」

梨奈「はい、伯父様・・・」

  • 格闘技の達人である武智は、あっさりと戦闘員たちを撃退する。

戦闘員A「く、くそっ・・・覚えていろ!」

武智「ハハハッ!! まずはお互いにエール交換と行きましょう。

 鉄面卿によろしく伝えておいてくれたまえ!」

  • 武智にボコボコにされた戦闘員たちは我先にと逃げていく。

武智「梨奈、怪我はないか?」

梨奈「ええ、私なら大丈夫よ。それよりアイツらは何者なの?」

武智「おそらく鉄面卿の配下だな」

梨奈「鉄面卿?」

場面2

  • 日本国内のどこかにある、ヨーロッパの古城のような外観の建造物。これこそ鉄面卿の居城(アジト)である。
  • 逃げ帰って来た戦闘員から報告を受ける鉄面卿。

鉄面卿「あれほど武智には手を出すなと言っておいたのに、その命令に背いたばかりか、

 無様に負けて逃げ帰って来るとは。覚悟はできているのだろうな?」

戦闘員A「・・・ボス! ど、どうかお許しを!!」

 

  • 鉄面卿が座っている椅子のひじ掛けの先にあるスイッチを押すと、戦闘員Aの立っている床に落とし穴が開き、哀れ戦闘員Aは、悲鳴と共に暗闇の中へと真っ逆さまに落っこちて消える。
  • 鉄面卿は、赤ワインが注がれたグラスを片手に立ち上がり、窓の景色を優雅に眺める。

鉄面卿「フフフッ・・・さすがは武智君。やはりこの程度のコケ脅しに屈したりはしないか。

 我が終生のライバルは、彼をおいて他にいない。君との再戦の時を楽しみにしているよ」

場面3

  • その頃、武智探偵事務所では、久々に帰って来た武智を迎えるべく、詩織の指揮の下で晴彦とイサムが大掃除に取り組んでいた。
  • なんとか大掃除も終わったところで、ちょうど武智と梨奈が戻って来た。「先生、お帰りなさい!」と笑顔で迎える晴彦たち。
  • 自分の留守中における晴彦たちの活躍については、海外赴任中の武智の耳にも届いていた。晴彦たちの労をねぎらう武智。
  • 武智は詩織に、新たな仕事の依頼は入っていないか確認する。詩織は、武智宛に届いていた一通の手紙を取り出す。差出人(今回の依頼人)は、日本政財界の影の大物と呼ばれる栃木山 介堂(とちぎやま かいどう)である。
  • 今から一週間前、栃木山家に鉄面卿から予告状が届けられていた。鉄面卿は世紀の大怪盗にして、名探偵・武智恭介最大のライバルである。
  • 今回の鉄面卿のターゲットとなったのは、介堂が100億円で購入した、ルネサンス期のイタリアの画家アベッリ(Abelli)(架空の画家)の作品である「女神セリスの祈り」(架空の絵画)である。
  • ちなみに栃木山家は、現当主の介堂が高齢で寝たきりの状態であり、いつお迎えが来てもおかしくはない状態。屋敷に集まっている家族や親類たちは皆、遺産相続を目当てにピリピリした関係が続いている。
  • 介堂から警備の依頼を受けた武智探偵は、警視庁の雅樂川警部と協力して、鉄壁で隙のない、それこそ完璧な警備態勢を敷く。

場面4

  • 栃木山邸の様子を探らせていた戦闘員から、アジトで報告を受ける鉄面卿。蟻も這い出る隙間もない警備体制に「さすがは武智君だ」と感心する。
  • 鉄面卿は、戦闘員たちに相馬晴彦の誘拐を命令する。武智の最も信頼する右腕である晴彦から、警備システムの隙はどこかを聞き出すつもりなのだ。
  • 拉致された晴彦は気が付くと、四方が白い壁と床に囲まれた明るい部屋に閉じ込められていた。両腕は壁に磔のように拘束(左図イラスト参照。イラスト提供は、遠山雪様。)されていて、身動きが取れない。
  • 栃木山家の警備体制の全容を聞き出そうと、晴彦を尋問する鉄面卿。
  • 勿論、晴彦は冷静さを保ちつつ、頑なに口を割らない。
  • 鉄面卿は、「自分は人は殺さない主義だが、必要によっては拷問も辞さない」と言って晴彦を脅す。
  • 戦闘員たちが拷問道具を運んで来て、晴彦の目の前でチラつかせる。
  • 晴彦は「手荒い暴力は三流以下の犯罪者のすることと見下しているのが鉄面卿の美学のはず。よって鉄面卿は拷問も使わない」と看破する。
  • 鉄面卿は、脅しをハッタリと見抜いた晴彦の勇気と冷静さを称え、「別の手を考える」と言って、しばらく晴彦をそのまま放置する。
  • 鉄面卿にとって、宿敵・武智恭介の可愛がっている教え子であると同時に、警察庁官房長・相馬輝明警視監の息子でもある晴彦は、まだまだ人質として利用価値があるのだ。
  • 晴彦はとりあえずもがいてみるが、手枷はビクともしない。

場面5

  • 鉄面卿は、自ら晴彦に変装し、栃木山邸に潜り込む。
  • 巧妙な会話術で、詩織から警備システムの解除方法を聞き出すことに成功する偽晴彦(鉄面卿)。